Trader Joe’sという食料品店に行くことにする。店内は若者で混み合っていて活気がある。レジのおにいさんやおねえさんたちが、みな元気で親切で愛想がいい。店に来る買物客も活気がある。ワインはありますか?と聞くついでに、さっき東京からついたばっかりです、とレジのお兄さんに言ったら、とてもびっくりされて、親切に系列店でビールやワインを売っている店は、ここらではどこと、どこにありますと教えてくれる。この店ではアルコールの取り扱いはしていないのだ。とりあえず朝食の食材を買ったが、どれも予定の2倍の量で閉口する。はたして全部食べられるのか?ところがこれがどれもこれも実に品質の良い美味しいものだったことが後でわかる。
このTrader Joe’sはもともと1958年にカリフォルニアにできたコンビニエンスストアから始まったチェーン店で、世界中を歩いてうまいものを探し、自社ブランドの袋に詰め替えて売るという珍しい形態の店で、日本で比較すれば紀ノ国屋か、らでぃっしゅぼーやの店舗版といったところか。私にはここの袋詰めの方法がとても新鮮だった。例えばチェダーチーズを買うと、分厚いスライスで15枚分くらい、わら半紙のようなものを挟んで並べたものを、A4の縦半分くらいのサイズのジプロック式ビニール袋に入れてある。最初はハサミで開封する必要があるが、その後はジッパーをぴったり締めて冷蔵庫にそのまま保管できるので合理的だと思った。日本ではいつも余った分は、ラップにくるんだり、ジプロックに詰め替えたりする手間がかかるがその必要が無い。他にもこの店で買ったハムやりんごのスライスなどは、いずれも同様のジプロック袋に入っていた。しかし冷凍食品はなぜか普通の袋に入っていた。それで結局ジプロックも買う必要があった。
卵はどれも12個入りのものだったのでちょっと困った。黄身は普通だが白身がやたらに多い。コンコンとしただけで、中身がプシュッといって飛び出してくるほど。とても新鮮な証拠に黄身が垂直に立っている。果物ではオレンジが、どれもものすごく甘くておいしかった。それからイングリッシュ・マフィン!なんと日本の1.2倍サイズのもの6個入りがたったの1.63ドルで、これがとてもおいしかった!小麦粉の味が濃いのだ。アメリカのパンはどれもまずい、という先入観をもっていたのだけど、それがすっかり打ち砕かれてしまった。コーヒーもフレンチ・ローストを買ったが、約400gで4.99ドル、カフェ・オレにしたらとてもおいしかった。ちなみに牛乳は1Lで1.29ドル。日本の約半額だ。オーガニック食品も多く扱っていて、どちらかというと高級食材店という印象なのだが、値段は平均して日本のおよそ3分の1というところか。もしTPP参加後にこんなお店が日本に進出したら、イオンなどひとたまりもなく吹き飛びそうだ。とにかく食材が豊富に安く手に入ることが、何よりも旅行者としては安心だった。土曜・日曜も開店していて朝は8:00から夜10:00までオープンとのこと。
食材を抱えようやくホテルの部屋に入る。エレベーターがないので荷物を持つねこもんはたいへんだ!半地下というより4分の3地下という感じで部屋は暗いが、キッチンは予想したより充実している。4個口のガスコンロとドラム式洗濯機並に大きなガスオーブン。これが温度調節のダイヤルを見ると、なんと750℃くらいまで目盛りがある。アルミが溶ける温度(660℃)より高い温度が必要な調理って、どんな料理なんだろう?!最新のものらしい白い電子レンジ。シンクは広く食器や鍋類も十分だ。しかも巨大な2ドアの冷蔵庫もある。エアコンもあるがリモコンの電池は切れていた。