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Vol.21 高原便り1「昆虫観察」

 8月9日、軽井沢駅からバスで15分ほどのところにある野鳥の森で、NPO法人「ピッキオ」という団体が主催する自然観察教室「いきものじっくり観察会」に小学1年生の息子と参加しました。その日はトンボの観察会でした。若い指導員2名の案内で、小学生を中心とした13人が虫網でトンボを捕まえ、それをチャック付きのビニール小袋に入れて、銘々が虫めがねや顕微鏡で観察するというものです。私は昔さいたま市の田舎で育った頃身につけた腕で、わけなく13cmくらいの大きなオオルリボシヤンマ♀と、シオカラトンボ♂を捕まえました。大きい方は1ぴきも捕まえられずにくちびるをかんでいる息子にやり、私はシオカラトンボを観察することになりました。

 私も初めての経験だったのですが、トンボを50倍くらいの顕微鏡で見るとすごい迫力です!目は青みがかった巨大なサングラスのようにガラス質で、そこに点状の黒い複眼が一糸乱れぬ精密さで何百と並んでいます。目ばかりが大きい顔の周りには、猫の毛のような体毛がびっしりと覆っています。鼻は真っ黒にテラテラと黒光りして犬の鼻にそっくりです。さらに胸に生えた4枚の羽の付け根には筋肉がむき出しになっていて、絶えずバクバクとまるで心臓のように波打っています。

 全員で歓声を上げながら、鉛筆や色鉛筆で精密なスケッチを取り、それを記念に持ち帰りました。野鳥の森は生物保護区のため生き物を捕ることが禁止されています。トンボは最後に草の上に放して帰りました。さんざんな目にあったトンボたちですが、しばらく羽を休めた後、案外しっかりと飛び立っていきました。

 指導員の説明では、日本全国には85種類ものトンボがいるそうです。そのうち21種類をここ野鳥の森で観ることが出来るそうです。ちなみにイギリスでは10種類ほど、ヨーロッパ全体でも100種類ほどということですから、面積で比べれば日本のトンボの種類が非常に多いことがわかります。日本のトンボの種類の多さは、日本の水辺の多様性に比例しているそうです。トンボによって森の中の水辺、小さな小川、田んぼなど、それぞれ好む水辺が違うのだそうです。

夏の軽井沢に来ると、昆虫だけでなく鳥や樹木などの種類の多さにあらためて気付きます。地球上の生物の中でも、昆虫は最も多様な種に分かれているそうです。実に地球上の生命の多様性には驚くばかりです。



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