AK Co.

Season'sTips


Back number
Vol.49 氣の漢方薬

「ジンチョウゲ 肺に満ちたり 坂の上」

私の家の近くに平和堂漢方薬局があって本当によかった!とこれまで何度思ったことでしょうか。そうなのです。今年もまたその季節が巡ってきました。この時期の年中行事、春の病です。

3月14日頃から、たしかに私は「上氣」しております。桜はせっかく開きかけたのに、このところの寒さで足踏み状態。枝ばかりが日に日にピンク色に染まっていきます。窓から眺める私も同様です。血行が頭に集中してしまい、昨日からはやたらに怒りっぽくなり、夢見も悪い。今朝は思い切って平和堂に久しぶりで出かけることにしました。家のすぐ近くに「鶯坂」と呼ばれるかなりの急坂があります。平和堂に行くにはこの坂を上らなければなりません。ようやく息を切らせて坂を登りきった瞬間、どこからともなく漂ってきた沈丁花の香りを胸一杯に吸い込んでびっくりしてしまいました。見ると民家の玄関先に植えられた沈丁花が満開です。そこで冒頭の俳句をひねりながら(笑)、今日はこの坂を三往復しました!

根本先生と本当に久しぶりに楽しくお話ができました。先生は6月から薬事法の改正で漢方薬の郵送による販売ができなくなってしまうことに反対して、署名活動の先頭に立っておられる最中で、大変お忙しいはずなのですが、いつもと変わらずゆっくりアドバイスをしてくださいました。私は平和堂にお世話になり出してかれこれ8年目になります。体質というのは頑固なもので、どんなに生活に気を配っているつもりでも、同じ季節が巡ってくるとやはり同じような症状で体調を崩すというのは、どうしても避けられないのが人間なのではないでしょうか。私は足腰はまだ丈夫なので、鶯坂でも山鳥坂でも上って出かけられますが、足腰の不自由なお年寄りは、今回の法改正でどんなに不自由な思いをされることかと思うと悲しい気持ちになります。法律の改正は、現場の事情をよくわきまえたうえで、広範な議論を尽くして慎重になされるべきだと思います。

さて、話が横道にそれましたが、帰り際に根本先生からご自身の講演を記録した冊子をいただきました。これがとても面白く、帰宅後一気に読んでしまいました。ちなみに、春の病では読書の効率は異様なほどよくなるのです。第16回和漢薬ランチョンセミナー『「氣の世界」---人体・文化』というタイトルの冊子です。中でもとても興味深かったところを引用します。

<石上神宮に魂振の神事というのがあります。自分の魂を高めるための神事が残っていますが、いわゆる「氣」を高める場と道が神社です。仏教は高ぶっているこころを抑え鎮めるものです。道教にはとどまっている「氣」をめぐらせるという特徴があります。ですから、しょっちゅうカッカする人はお寺に行ってお経をあげ、心を鎮めるのがよいし、沈んでいる人は神社で「氣」を上げるのがよい。また、「氣」が滞っている人は「氣」を回すということを考える。滞ったところが病気になるからです。>

なるほどそうなのかぁ!それで私は先のお彼岸で京都の音羽山清水寺や東寺に詣でていたんだ〜と今更ながら自分の行動にも納得がいきました。

話がどんどん脇道へと走ってゆきますが、今年は西国三十三カ所巡りを発願した記念の年になりそうなのです。音羽山清水寺でたまたま御本尊御開帳に出くわして、次の御開帳は2033年だと教えられ、とたんにその気になったというのが実情なのですが。今私の手元には、区立図書館で借りた西国三十三カ所巡礼に関する本がすでに4冊あります。やはりこの体質は、一生根治しそうにありません!!



home

禁無断転載・リンクフリー (c) AK Co. All Rights Reserved.


home