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物理のかたりべちゃん


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第1話 星の一生


December 13, 2004

みなさんはじめまして。「物理のかたりべちゃん」です。はじめに自己紹介代わりに、何故かたりべちゃんが物理学の世界に興味を持ったのか、その理由をまずは説明したいと思います。

かたりべちゃんは9才の時に、小学校の図書館で借りてきた「星の一生」という科学の図鑑を読んだのがきっかけで、物理の小径に踏み込んだように思います。その頃までかたりべちゃんは、生まれたり死んだりするのは、人や動物のような生き物だけと思っていたのです。その本には「星も生まれて死んでいく」というショッキングなことが書いてあったのです。そもそも「一生」という題自体が不思議でした。さまざまな銀河や星雲、星の死である「超新星」の大爆発や、たくさんの星のあかちゃんたちのゆりかごのような「星間ガス」の美しいカラー写真を見て、かたりべちゃんは深い印象を受けました。「星」や「宇宙」にも一生がある!これは本当に驚きでした。

さらに高校1年生の秋、有名な故カール・セーガン博士のテレビシリーズ「COSMOS」を見て、宇宙論や天文学への興味を決定づけられたのです。これはNASAが打ち上げたボイジャー1号という木星・土星の探査機が土星に再接近した1980年11月に放映されたものです。この番組の内容については日本惑星協会のサイトに詳しい説明がのっています。このサイトには第1話を見ての手塚治虫氏の感想などもあり、一見の価値ありです。当時の感動を思い出して、今更ながらにワクワクしてしまいます。
 
ところで科学の性格のひとつに、人間の自己中心的なものの見方や先入観をするするっと抜け出して、人間だけに特別なものは何もないという相対主義的な思考をどこまでも追求してきたということがあげられます。「星の一生」や「COSMOS」との出会いは、かたりべちゃんにとってそのような小径の出発点だったのですね。人が生まれて死んでいくのと同じくらい当たり前に、星も生まれて死んでいく。もちろん人と同じくらい当たり前に、犬や猫、草や木も生まれて死んでいくのですから、自然をよく観察していればとっくに気付いてもいても良さそうなことでしたが。カール・セーガン博士も著書「惑星へ」で、この徹底した相対主義的なものの見方の重要性を繰り返し強調しています。

相対主義を最初に極めていった人に、ルネサンス初期のヨーロッパに生きたモンテーニュという思想家がいます。次回はこの時代の歴史について少しお話ししますね。ではごきげんよう!

参考文献など
「星の一生 科学のアルバム4」、藤井旭著、あかね書房(1970)
「COSMOS」上・下巻、カール・セーガン著、木村繁訳、朝日新聞社出版局 (1980)
「惑星へ」上・下、カール・セーガン著、岡明人ほか訳、朝日出版社(1996)
日本惑星協会



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