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海をかき混ぜる
2010/09/14 Tue. 18:02

 今年西暦2010年の夏は本当に暑い夏でした。気温は多くの観測地点で記録を塗り替え、東京では猛暑日、熱帯夜の連続日数も観測史上最大となったとのことです。歴代2位は1994年だったそうです。ちなみにこの年は私が結婚した年であります。暑い夏の日に結婚式の招待状に切手を貼って赤いポストに投函した遙かな思い出がかげろうのように立ち登ってきます。

今年の暑さの原因は、まず何と言っても太平洋高気圧でしょう。この牛乳びんの底のように分厚い太平洋高気圧は、居酒屋でてこでも動こうとしないはた迷惑な酔客のように居座り続けたのでした。偏西風は北へ迂回してしまい、南からの湿った熱気が日本付近に流れ込みます。山沿いでは夕立があるため一日ごとにリセットされる気温も、東京のような都市部では1ヶ月間もまとまった雨が降らず気温はさらに上がる一方でした。

毎日、昼間はあまりの暑さに空を仰いでお天道様を恨めしく見上げたりしていましたが、どうやらこの「牛乳びん底」太平洋高気圧は、海水温の上昇が原因になっているようです。なんと海底にも猛暑をもたらす鍵が眠っているらしいのです。海の水は極に近い地方で冷やされて重くなり、海底へ沈み込むことでゆっくりとかき混ぜられています。海面近くを表層水、水深2500m以下を底層水と呼ぶそうですが、この表層水と底層水がゆっくりといれかわるのはおよそ2000年周期だそうです。ところが日本海はもともと湖で、対馬海峡や宗谷海峡によってほぼ閉ざされているためか、この周期が約100年と短い。余談ですが日本人の熱しやすく冷めやすい性格は、そんなこととも関係があるかもしれません。ところで記録を調べると、猛暑の夏の前触れとして5月末頃から本州北部、特に三陸沖から北海道東方沖にかけて平年より水温の高い帯状の海域が現れ、その状態がだいたい9月頃まで続くそうなのです。この海水温の上昇をもたらす原因はいったい何でしょうか?クジラやエチゼンクラゲのような大型海洋生物たちは、その鍵を握っているのでしょうか?

海の底には地球温暖化を阻止する鍵となるようなヒントが眠っているかもしれません。猛暑を和らげるために海をかき混ぜる必要がありそうです。

参考 海洋研究開発機構プレスリリース
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20100910_2/

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