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はやぶさ君と人工知能
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2010/06/17 Thu. 14:35
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2010年6月14日に報道された、大気圏上空で青い光を放ち燃え尽きた小惑星探査機「はやぶさ」の映像は、深く心に迫るものがありました。7年間で60億キロメートルに及ぶという長い旅を終えて地球に戻り、カプセルを分離した直後に青い星になった「はやぶさ君」。わたしは宮沢賢治の童話『よたかの星』を連想せずにはいられませんでした。
様々な報道を読むうち、はやぶさ君は自律型探索機だということを知りました。実にはやぶさ君は人工知能だったのです。そこで、さらに詳しい情報を得ようとJAXA(宇宙航空研究開発機構)のホームページでお勉強してみました。
はやぶさ君が自律型の航法を取らなければならなかった最大の理由は、地球との交信に片道10分以上かかるということです。そういうところは、うちの息子にもあります。こちらは単に指示を聞き流しているので返事をしないだけの理由ですが・・・。もしかしたら、はやぶさ君の人工知能もうちの息子も、おとながいちいち指図できない方が頭が良くなるのかもしれません。
はやぶさ君が探索した小惑星は「イトカワ」といいます。大きさは一番長いところで500mあまりで、落花生かメークインのような形をしたおそらく岩石の固まりです。とても小さいため重力は地球の10万分の1しかありません。ですから、はやぶさ君は賢い鳥のようにイトカワに降り立ったと言うよりも、綿毛のタンポポのようにそっとイトカワの表面をなぞり、そしてまた地球にもどる軌道にふわっと乗りかえたのだ、というのが私の印象です。もちろんその間に、さまざまなトラブルを乗り越えなければならなかったのは、すでにたくさんの報道が伝えているとおりです。
未知の小惑星に着陸するのですから、タンポポの種のようにどこでもてきとうに降りれば良いというわけではありません。地面にぶつかったらいけないし、なによりも地球との交信のために常に自分の太陽電池パネルはお日様にあてていなければなりません。人工知能はやぶさ君が守ったいいつけは、おそらく次の3つでしょう。
1) 太陽電池パネルはいつもお日様にあてよう
2) 無理して地面に衝突しないようにしよう
3) わからなかったら安全な場所で次の指示を待とう
それでもたくさんの部品や機能をそなえたはやぶさ君ですから、現場で集めたデータを自分で分析して、それをフィードバックして次の自分の行動をどうするか自分で決定するのは容易なことではなく、立派に人工知能と呼んでいいと私は思います。
はやぶさ君の学習課程はどのように記録されたか、とても興味深いです。地球からの指示と、自律的な選択がどの局面でどの程度の割合でなされたのか。はやぶさ交信記録は人工知能のよい研究材料になるはずです。そしてポケットに何を入れているのかも。もしかして、磁石や鉄釘やきれいなビー玉なんかが出てくるかもしれません!
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