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化学物質の害(2)
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2005/09/07 Wed. 19:40
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わたしたちの身の回りにあふれている化学物質は、それ自体が有害な場合は、もちろん人体への使用が法律で厳しく制限されています。けれども、ある化学物質そのものがほとんど無害でも、それが体の外へ排出される前に、有害な物質に変化する場合があるというのが前回の話題でした。
ここで少し話は変わりますが、このところ活性酸素という言葉をよく耳にします。活性酸素とはどのようなものでしょうか?
放射線やエネルギーの高い紫外線があたると、分子の中にいる電子はかんたんにはじき飛ばされてしまいます。活性酸素は、紫外線や放射線にあたっただけで、体内の水分や酸素からすぐに生成されるものです。
わたしたちの体をつくっている細胞で、活性酸素が発生したらどうなるのでしょうか?
活性酸素は、失った電子をあたり構わず周りから奪って自分は安定化しようとしますから、今度は周りにいる原子や分子たちが電子をとりあげられてしまいます。ちなみに、このように原子や分子が電子を失うと、それは酸化します。
細胞膜は40%がリン脂質という脂質で出来ています。また、コレステロールや性ホルモンやその他の副腎皮質ホルモンなどの各種ステロイドも脂質です。これらさまざまな脂質が活性酸素によって酸化されると、過酸化脂質となり、それが起爆剤となってまわりの分子のなだれのような酸化が始まります。
酸化してしまった分子は、本来の機能を果たせなくなります。リン脂質が酸化されると、細胞膜はしなやかさを失ってしまうでしょう。酵素が酸化されれば、わたしたちの身体に必要な物質が、うまく作り出せなくなるでしょう。
酸化の連鎖反応でさらに悪いことは、細胞核の中にある大切な生命のプログラムが書かれた、DNA分子が傷つくことです。このようにして、活性酸素は動脈硬化などの老化や発ガンなど、さまざまな病気の原因になると考えられるのです。
さて本題に戻ります。
つい最近、これまで最も人体に害が少ないとされ、食品や化粧品などの保存料として幅広く使われてきた、メチルパラベンという化学物質が、細胞内の過酸化脂質を増やすという研究結果が発表されました。皮膚の表皮細胞を産み続けるケラチノサイトと呼ばれる細胞に、紫外線を当てた状態でメチルパラベンを添加したとき、細胞死亡率が増えたということも報告されています。つまりメチルパラベンは、何らかの仕方で過酸化脂質の発生を促しているのかもしれません。
体内に入った特定の化学物質が、活性酸素、ひいては過酸化脂質をなだれ的に増やし、それが老化や何らかの病気の原因になるかもしれないという構図は、今後も引き続き真剣に研究・議論する必要があります。
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