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天体の運行
2010/01/27 Wed. 12:28
 小学5年生の息子に地球の公転運動の説明をしていて気づいたのですが、天体の運動はこども達にとってとても理解しづらいことのようです。ガリレオが自作の望遠鏡で木星の衛星を観察していた頃から、たった400年しか経っていないのですから、それも当然かもしれません。いっぽうで、地球が地軸のまわりにコマのように自転しているという説明は、わりとすんなり受け入れられるようです。何かの映像で以前見たことがあるのかもしれません。しかし、太陽の周りを時計と反対の方向に回る公転運動については、言葉だけの説明ではなかなか目に浮かばないようで、たくさんの???で頭の中がいっぱいになってしまうようです。

 そこで実際に紙の上に太陽を中心とした円を描き、指でなぞって地球の運行を再現してみせます。わたしが「夏至→秋分の日→冬至→春分の日」と口で言いながらぐるぐる円をなぞっていると、カレンダーで知っているはずの季節の変化が、その順番に公転軌道上にあらわれることに新鮮な驚きを感じているようです。なるほど、直線的に流れる時間という視点と周期的な円運動が直感的には結びつかないのが原因だな、と気づいた私は、太陽系の様々な惑星の公転軌道が描かれた図を見せたり、実際にそれらの惑星が公転している動画をネットで探し出したりしてこどもに見せてみました。

 もちろん、宇宙の中にそれらの惑星がたどる軌道が、運動場のトラックのように白線で引かれてあるわけでは決してないのですが、この架空の軌道上を天体が運行する様子をあらわした動画は、こどもの理解を非常に助けてくれました。インターネットで探すととてもいいものが結構見つかります。NHKの大河ドラマ「天地人」のオープニングの映像に、夜空の星の運行を早送りしたカットが一瞬あるのですが、これも地球の公転運動と絡めてビジュアル的に説明するとだいぶ解りやすくなるようです。

 実際にはない「軌道」の概念が、天体運動の理解に強力に役立つのを、息子を通してあらためて確認しました。これが度を越して、今度は逆に電子や陽子などミクロ世界の理解の妨げになるのですが。副作用のない薬はないという事実が、わたしたちの自然を理解する方法にもやはりあてはまることも、できれば忘れないようにしたいものです。

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