またTrader Joe's で食料を買ってホテルに戻り1時間昼寝する。その後洗濯しようとランドリーを覗いていたら例のボスが通りかかり、きびしい問責口調で“ May I help you?” と聞くので、何だか高圧的なヤツだなぁと思いながら、「ランドリー使いたいんだけど。」と言うと、夕方5時から9時まではつかえるよ、と説明してくれた。クォーター(25セント硬貨)が10個も必要でびっくり。この日の受付のお兄さんは昨日とは違う白人の若者で、親切だけどやはり気が利かない。近くの店で両替してもらうのに白ワインを13ドル弱で買う。戻るとねこもんがドアの前で待っていた。あとから「ドア開けて」と私のiPhoneにメールが来ていた。ホテルに入ればwifiが使えるのだ。
こんなんでいいのか?と心配になるような洗濯機だがとにかく洗濯開始。どうもいい加減な洗い方だけど・・・。15分くらいであっけなく洗濯終了。なんだかはや過ぎるような気がする。たしかにドラム式は水を溜める時間がないぶん早く終わるんだろうけど。さらに5分で25セントの乾燥機。結局全部で16個のクォーターを使う。夕食の支度をしているうちに洗濯物が乾いて、ふっくらと綺麗になっていたのでとても嬉しい。私は旅に出ると洗濯魔になってしまうのは何故なのだろう。
野菜不足を補おうとして、りんごの切り身の袋詰めを一袋買ってきたのにねこもんは食べようとしない。お尻が痒いという。水量が少ないので、シャワーで綺麗に全身を洗うのがなにしろ大変なのだ。私は40分くらいかかった。オロナインを持ってきて正解だった。そのおかげでねこもんのお尻は1日で治った。こんな時日本のウオシュレットは偉大な発明だとしみじみ思う。その後ねこもんはシャワーを浴びて、再び私も一緒にパフォーマンスセンターに行く。雷雨のあとで雨がこやみになり、超高層ビルのプルデンシャルタワーに虹が2本かかっていた。たくさん写真を撮る。
その晩はRockコンサートで、Rod Morgensteinという人の模範演奏を聞く。ものすごく美味い。しかも手なりが実に美しい。肘から下スティックの先まですんなりと伸びて力みがないのだ。でも腕の太さや体格はゲルマン系のまるで拳闘家である。1時間あまりを演奏して疲れも見せない。かなりの上手と見た。山羊そっくりのJordan Rudessはキーボードを自由自在に操っている。まるで妖術士みたいな人だが、作曲と編曲をしているかなり有名な人らしい。かつてゲーリー・ムーアが中心だったコロシアムIIのような曲調だ。
楽しくホテルに戻ると、インターホンを押しても応答がない。まさかと思いしばらくドアをドンドン叩いたりしても受付に人の気配もないのだ。あわてて近所の酒屋の店員のお兄さんに公衆電話の場所を聞く。通りを渡ったところにあるといって、わざわざ店の外に出て指差して教えてくれる。30秒から25セントだよ!とのこと。電話してみるとやはり留守番電話だ。もう一度ホテルに戻るとさらに3人の若いグループの宿泊客が閉め出されて困っている。私は渡された合鍵のひとつが部屋の鍵でなかったのを思い出して、これが玄関の鍵だろうと気づき開けようとしたがうまくいかず、てっきり裏口のドアから入るのだと思いこんで、ねこもんと決死の覚悟で裏通りの路地に出る。この裏通りに今朝あやしげな男が2,3人たむろしていたのを私たちは覚えていたのだ。
ねこもんは私の持っていた合鍵をひったくると、自分で持って先に立って早足で行く。ホテルの裏口はすぐ見つかる。入ろうとした瞬間、何故か水がたたきに流れてくる。排水管がこわれているのかな?夜中に排水がものすごい音をたててホテルの部屋の壁の内側のパイプを流れて落ちる音がしていたのを思い出す。裏口の鍵はすんなりと回ってドアが開いたのでほっとする。これで駅で寝なくて済むね!と私は喜ぶ。玄関の外側にいたお嬢さん2人を中にいれてあげる。一緒にいた若者はどこにいったのか見当たらなかった。たぶん二人を送ってきた人だったのだろう。
部屋にようやく戻って、これは滅多にできない珍しい経験だ!と心底思う。これだから知らないところへ旅するのは楽しい!でもチェックインの時に、ちょっとでも説明してくれたら良かったのに。「夜9時以降はフロントが無人になります」とでも?!