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こころの話
2006/05/25 Thu. 20:56
 都内のある公立小学校の校長先生の話が、新聞で次のように報道されていました。

<04年春の新入生に体がやせ細り、元気のない男児がいた。授業中きちんとした姿勢を保てず、ぼんやりしていることも少なくなかった。
 昨年4月、男子児童に話を聞くと、コンビニを営む両親から販売用のおにぎりや菓子パンを毎日のように与えられているという。校長は栄養を補うために、給食の牛乳を冷蔵庫に保管、他の児童に知られないよう校長室で毎日飲ませた。
 その後も児童の食生活に改善は見られず、賞味期限切れの食品を与えられていることも分かった。児童も好き嫌いがあり、校長がスープを与えても飲まなかった。栄養失調も疑われたため、見かねた校長は今年3月、保護者を学校に呼び出し、「今は成長期で、脳がつくられる大事な時期。きちんとした食生活をさせないと困る」と諭した。
 母親は「(食事を)作っても食べない」と戸惑った。「食べるように(食材を)小さく切るなど工夫していますか」とたたみ掛けると、両親は互いに責任をなすり合い、けんかを始めたという。>
(5月22日付け毎日新聞記事より引用)

 この子供は栄養失調寸前なのにもかかわらず、食事ではなく両親の愛情こそを何よりもまず求めています。母親が「作った」と言っている食事を食べないのは、そうするしか両親の関心を自分に引き寄せられないことを、本能的に知っているからなのでしょう。

 この短いエピソードには、いろいろなこころのかたちが見えます。それらすべてが、私たちのこころが自由を失ってしまったときの素顔です。

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