AK Co.

物理の小話



最新の小話30件
☆ 海をかき混ぜる
☆ はやぶさ君と人工知能
☆ 天体の運行
☆ 続・怪しい数の話
☆ 怪しい数の話
☆ 携帯電話と脳
☆ アンテナの話
☆ 牛乳の話
☆ 昼と夜のながさ
☆ 星砂の話
☆ 下敷き実験
☆ こころの話
☆ クジラの宇宙観
☆ 時空の話2
☆ 時空の話1
☆ 雪の話2
☆ 雪の話1
☆ 音の話
☆ 月三題
☆ パンの話
☆ 地球の話2
☆ 地球の話1
☆ 化学物質の害(2)
☆ 化学物質の害(1)
☆ 放射線の話(2)
☆ 放射線の話(1)
☆ わたしはスカスカ
☆ 大気のイオン化
☆ 大気の話
☆ 原子のかたさ
spacer
アンテナの話
2007/09/12 Wed. 14:23
 最近わたしの自宅があるマンションにも設置依頼があった、携帯電話無線基地局に関する話です。

 携帯電話基地局の建設・設置に関する住民と携帯電話会社間のトラブルは、動画の通信が可能ないわゆる第3世代携帯電話(3G)の基地局が増加し始めた2002年頃から急増し、現在では全国で200件以上起きていると言われています。(「電磁波問題市民研究会」の調べによる。)
 現在の電磁波規制は総務省の「電波防護指針」の基準値をもとにしています。これはWHO(世界保健機関)の示したガイドラインに基づいて決められたもののようです。携帯電話周波数帯の電波は、ラジオなどに用いられるアナログの連続波とは異なり、多数の人がそれに被爆し始めてからまだまだ日が浅いため、長期的あるいは恒常的に被爆した場合に、どのような健康影響が現れるかは未だ不明です。薬害エイズ問題やアスベスト被害など多くの苦い経験から、さまざまな健康被害に対しては、予防原則を尊重すべきだと言う考え方が、多くの人々の間に広まってきたことから、携帯基地局設置についての対応は、十分慎重にすべきだという認識が国際的に広まりつつあります。
 携帯電話に使われる周波数帯の微弱電磁波の健康への影響を調べる試みは、これまで国際機関であるWHOを始め、国内でも国立環境研究所、北里研究所病院をはじめいくつかのグループによる研究が始められており、2003年からは京都大学基礎物理学研究所において、毎年研究会「電磁場と生体への影響」が開催されています。その報告書によれば、小児白血病、脳腫瘍等の発ガン性、および神経細胞へのダメージなどに統計的に有意なレベルでの影響が見られるとのことです。2003年には第3世代携帯電話の基地局からの電波が、周辺にいる人の頭痛や吐き気の原因となる可能性があるとの研究結果がオランダ経済省により報告されています。
 さらに2004年には、EU7カ国・12研究所の共同研究プロジェクトによる研究結果が報告されました。携帯電話周波数帯のヒト培養細胞への直接の影響として、現在用いられている安全ガイドライン以下であっても、細胞にDNA切断といった遺伝子損傷が生じることが示されたことで、世界中の注目が集まっています。
 こどもは特に電磁波に対する脆弱性が高いという認識は、すでに各国の研究者により共通のものとなっています。住居のあるマンションの屋上に基地局を設置した場合、設備電源のON/OFFはもとより出力レベルの調整なども住民には一切不可能となり、携帯電話会社の管理下にのみ置かれることになります。自宅で長時間を過ごすこどもや高齢者への影響が一番深刻です。

Pass  
Olive Diary DX Ver1.0





home

禁無断転載・リンクフリー (c) AK Co. All Raights Reserved.

home