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時空の話1
2006/02/07 Tue. 16:04
 わたしたちの持つ時間や空間の感覚は、ここ100万年あまり、2本足で歩くヒトが外界に適応しようとして発達させてきたヒトの脳があみだした、わたしたちオリジナルの感覚です。 
 ですから例えば、常に地面をはっているヘビが、もしも数学を発達させていたら、空間を違った形で認識したに違いありません。複眼を持つトンボや、超音波で「見る」コウモリ達も、それぞれ独特な空間感覚をそれぞれの方法で表現したに違いありません。

 有名な物理学者である故アインシュタインは、時間が空間の3次元(縦・横・高さ)と全く同等な、もうひとつの次元だということを証明しました。彼の理論の正しさは、例えばわたしたちがカーナビでGPS(全地球測位システム)を利用するたびに実証されています。この技術は、彼の相対性理論なしにはうまくいかないからです。時間という新たな次元が加わった、この4次元の対象は「時空」と呼ばれます。

 時空が実際にわたしたちが住む場所ですから、わたしたちが100万年かけて築きあげてきた時間の感覚には、かなりの変更が必要です。たとえば、現在・過去・未来という概念もまったくうわべの印象でしかなく、実際にはあらゆる時間のあらゆる場所での出来事が、イベント(事象)として平等にあまねく散らばっている、時空間というものを想像しなければなりません。

 普通の時間感覚では、わたしたちの人生は、まっすぐに伸びる平均台の上を、点のように過去から未来へ向かって移動していく、というようなものではないでしょうか。けれども時空感覚でわたしたちの人生をたとえれば、竿(さお)を担いでじっと立っている自分というイメージになります。あるいは、平均台の上にびよ〜んと引き延ばされた自分を想像しても良いでしょう。この引き延ばされた自分は、(うわべの印象としての)過去の誕生から未来の死に至る自分の一生を、すべて一緒にあらわしています。

 さらに想像を膨らませて、ひとりの人間をデジタルな情報のひとつの固まりとしてみれば、自他の区別は離れた場所から見ればほとんど無いに等しく、同時代の人であるかどうかももちろん関係なく、どの時空上の人も自分自身とほぼ同一と見なせるでしょう。しかし残念なことに、ひとつの竿あるいは平均台の上の異なる場所にいる自分とは、これまで見つかっている方法ではどうやっても通信できません。手紙は出せても返事は返ってこないのです。

 ところで、人間だけが知能を持っており、宇宙の本当の姿を理解できる、というのは本当でしょうか?

 そんなことはありません。へびも時たま穴に落ちることがあります。その時に彼は空間の中に第3の次元(高さ)があることを、実感として悟ることが出来るはずです。

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