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月三題
2005/11/21 Mon. 16:29
一、
月は1年中いつでも、地球上のどこから見ても、常に同じ「顔」に見えます。
その「顔」に描かれた明暗の模様は、日本ではウサギが餅をついている図に喩えられてきました。お月見の時、白いお団子をお供えするのは、そのような連想と関係があるのかもしれません。
ところで、そのように月の「顔」が、いつでもどこでも同じに見えるのはどうしてなのでしょう?
月は地球の周りを27日と少しかかって一周します。これは月の自転の速さときっちり同期しています。つまり、月が自分の軸の周りに一回転するのと、地球の周りを一周するのにかかる時間ががきっちり同じと言うことです。そこでわたしたちは月を見ているとき、いつもその片側の面を見ており、その反対側は決してみることが出来ないのです。

二、
わたしたちは見かけ上、太陽の大きさと月の大きさはほとんど同じだと考えています。ところがこれら二つの星は、もし隣に並べて比べてみれば、月とスッポンとまでは言いませんが、大きさが非常に異なります。太陽の直径(1,392,000km)は月の直径(3,474km)の実に400倍です。ところが地球からの距離が、太陽までの方が適度に遠いため、見かけはほぼ同じ(視直径約30秒)となり、それで時たま皆既日食や金環食などが観測できるわけです。

三、
地平線から昇ってきた月が、異様に赤い色をしているのを見て、何となく不安になることがあります。その反対に、深夜に頭上高く照らす月は、やや青ざめた冷たい輝きを放っています。
地平線近くに月があるときと、空の高いところにあるときでは、何が違うのでしょうか?
地平線近くにようやく昇ってきた月の光は、空気の層をたくさん貫いてわたしたちの目に届きます。空気の中には光の進行の邪魔をする、水蒸気や塵やガスなどがたくさんあります。光の中でも青い光は赤い光に比べて、そのような邪魔者のためにより進路が妨げられやすいのです。その結果、赤い光の方がより多くわたしたちの目まで進んでこられるのです。湿度が低くて空気の澄んだ深夜には、そのような邪魔者が空気中にそれほど残っていませんから、青い光を含むすべての色の光がまんべんなくわたしたちの目に入ってくるのです。それで月はやや青みがかった白色に見えます。

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