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地球の話2
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2005/10/11 Tue. 17:17
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方位磁針(コンパス)は、地球上どこへ行っても北の方角を指しますが、これはいったい何故でしょう?
驚いたことに、地球はそれ自体が巨大な磁石なのです。この磁石のS極は地球の北極、N極は地球の南極です。ところで磁石のN極とS極は、お互いに引っ張り合う性質があります。それで方位磁針のN極が、地球のS極(北極)に引っぱられて北を指すのです。
このような方位磁針が発明される以前にも、古代人は紀元前6千年頃から筏や帆船を発明し、海を越えてナイル川からチグリス・ユーフラテス川へ、さらにインダス川や黄河を越えて、地球上をあまねく航海していました。彼らはいったいどうやって方角を知ることが出来たのでしょう。方位磁針に関する記述は、11世紀の中国の文献にはじめて現れるそうですが、航海に使える形での方位磁針、つまり羅針盤が発明されたのは13世紀のイタリアです。この発明のおかげでようやく、人間は太陽や月や星に頼らなくても、方角を知ることが出来るようになったのです。
さらに20世紀の終わり頃から、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)と呼ばれる方法が使われるようになりました。これは、軍事目的の他、わたしたちにすでにたいへん身近な、携帯電話や自動車のカーナビなどにも使われています。GPSでは、アメリカの軍事衛星から電波信号を受け取ることで、地球上での自分の現在位置や進行方向を知るのです。
さて、地磁気はこの170年間でおよそ10%ほど弱くなっており、このままではおよそ2千年後には消失すると言われています。実は、地磁気はこれまでも平均して100万年に1.5回の周期で、N極とS極が反転してきたそうです。つまり、方位磁針はそのたびに北を指したり、南を指したり、交互に反転するわけです。そして、前回の地磁気反転からすでに78万年経っていることも知られています。地磁気がこのまま弱くなり続け、いずれ反転するにしても、それまでの中間段階をわたしたちはどう乗り越えたらいいのでしょう?地磁気が不安定になれば、太陽の活動に伴う磁気嵐の影響をまともに受けてしまい、人工衛星との電波の送受信も不安定にならざるを得ませんから、GPSも万全とは言い切れません。
海を越えて何万キロも旅をする渡り鳥たちは、敵の襲撃を避けるため夜間に飛ぶものが多いと聞きます。晴れた夜には、星座を頼りに進路を確かめているそうです。わたしたちの祖先も、古代にはおそらくそれに似た方法で航海や旅をしたのでしょう。
わたしたちの子孫が、軍事衛星や地磁気にすら頼らない測位システムを、あらたに創り出す必要にせまられる日が、いずれは来るかもしれません。
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