ねこもんとお昼ご飯を待ち合わせしていたのでラーメン屋に行く。支払いの時、洗濯のために25セント硬貨を確保しようと、お釣りを下さいと店員に伝えた。店主はなにやら目つきの悪い初老の日本人で、カウンターの奥のレジから、お釣りを店員のアジア系の若いお兄ちゃんに渡していた。私がお釣りを全額受け取ると、日本語で「チップをください!」と切羽詰まった様子で若い店員が言うので、仕方なく1ドル札を渡した。あまりに声が悲壮な感じなので、ラーメン屋でチップ?とびっくりしたがしょうがない。ラーメンと餃子で二人で20ドルのランチだ。
その2日後、ねこもんは一人でこの店にまたラーメンを食べにいった。そのときは日本人のアルバイト店員がいたらしい。ねこもんはあらかじめ、わざわざ英語で「お金がないのでチップは払いません。」と宣言したらしいのだが、店の外までこの店員が追いかけてきて、「チップを下さい!」と言うので、また仕方なくチップを渡してきたとのこと。相手がこどもだろうが何だろうが、見境いなく追いすがってチップを乞うというのはよほどのことだろうと驚く。しかし、あとで知ったのだが、実は就労ビザを持っていないアルバイトなどを、ほとんど賃金ゼロで雇い、チップ収入のみで働かせるという、いわゆるチップ労働という不法な雇用・就労形態が、アメリカには存在しているらしい。そうだったのか!彼はチップだけで生活しているのか!ようやくあの店員の悲壮感の理由がわかった気がした。しかもさらに調べてみると、法律で定められた最低賃金も、アメリカでは時給たった2.11ドルとのこと。東京のおよそ4分の1くらいだろうか?それで生活していくのはほとんど不可能ではないだろうか?あのラーメン屋に行ったおかげで、アメリカの貧困層の現実にすこし触れたように思う。しかもその気の毒な店員は、同胞であるアジア系の人々なのだ!ところで、ねこもんに「なぜ日本人の店員とわざわざ英語で会話したの?」と聞くと、「だって、日本人だってばれるのイヤじゃん。」となんでも無いように答える。彼なりの自衛本能なのだろうか?
再びねこもんと別れ、Shaw'sへ行く。今日は一人だったのでゆっくり商品を見て回れた。すると白人のいかにもハイソな感じの背の高い初老の男性が、魚売り場に向かって行くので、あとについていって隣りで見ていると、大きな水槽に何匹も活きたロブスターがいた!男性はあれでもないこれでもないと品定めして、ようやくその中から1匹選び、そのままカウンターの係の人にレンジで調理させていたのにはビックリした!どんな風になってレンジから出てくるのかまでは確認できなかった。そのあと、同じ売り場で私は立派なカジキマグロの切り身を包んでもらい、氷もくださいと言うと、大量に袋にいれてくれるので、重いから少しでいいからと、やっと2/3くらいにへらしてもらった。それでもかなりの重量だ。よさそうなNapaValleyのワインも選んでおいたので、今日はツナソテーとワインの夕食にしようとうれしくなる。レモンも忘れずに1個買う。
食料は重かったけど、頑張ってお隣のLord&Taylorという百貨店で、昨日チェックしておいたサムソナイトの小さなスーツケースを買う。半額セールで144ドルでした。ちょうどこんな大きさのスーツケースを買おうと以前から思っていたのだ。それでさっそく買物袋を中に入れてごろごろ転がして帰る。今日は夕立もなく乾燥した晴天のまま暮れる。明日も素晴らしい天気になるという予報だ。