大津旅行二日目の朝は六時に目が覚めた。分厚いカーテンを少しだけ開けてみたら、三十三階から見渡す琵琶湖の対岸に朝日が昇っていた。湖面が金色に輝いてとてもまぶしくて目がくらむ。快晴だ!
朝ご飯は八時から三十六階の清水という和食レストランで。土鍋で炊いたご飯がメインの朝定食というのを楽しみにして行く。案内の席係のおばちゃんが、どうしたんだろうと思うようなざんばら髪と着崩れた和服姿でびっくりした。とても忙しそうに肩で息を弾ませている。そうまでして和服でなくてもいいのに。それでも窓からの景色は素晴らしくて、比叡山が雲をかぶっているのがすぐそばに見える。昨日あのあたりを歩いていたんだなぁ、と感慨深い。
もうひとりの席係のおばさんは洋装の制服姿だったが、忙しそうながらもとても親切に質問に答えてくれる。比叡山が雲に隠れるのは珍しいと言っていたけど、そのときすでに山頂は雷雨だったようだ。さすがに昨日気温が上がりすぎたせいか、その日は大気が不安定で、関西のあちこちで雷雲が発達中とニュースが伝えていた。台風10号はすでに熱帯低気圧に変わっていたが、その影響だとのこと。
朝定食は土鍋で炊いたご飯がやっぱり美味しかった。二段重に細々とおかずがあり、なかでもだし巻き卵が絶品だった。それからお味噌汁は具がたくさんの種類の根菜で、量もたっぷりあってうれしかった。お漬け物が普段の三倍くらいの量で、なす、大根、壬生菜、などどれも京漬物で美味だった。メロンのデザートまで食べてすっかり満腹になる。
九時半にホテルをチェックアウトしたときには、すでに空模様が怪しかったのでホテルで傘を借りていく。これが後ほどとても役に立った。ホテルからタクシーで石山寺へ行く。このタクシーの運転手さんが、話がとてもおもしろく、昨日は近江八幡が全国一の38.8℃という最高気温を記録したということや、いろいろな話をしてくれる。石山寺にはまもなくついたが、わざわざ写真を撮るために車を降りてくれて、私のiPhoneで写真を撮ってくれるなどとても親切なのだ。
石山寺は西国三十三カ所の第十三番だが、十二番の岩間寺まではここから車で十五分くらいですよ、と教えてくれた。しかし、そのときはまだ行くかどうかは決めていなかった。それでいったんお礼を言って別れる。